広島の工場?
- 作者: 小山田浩子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/03/01
- メディア: 単行本
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その町の人のあいだでは、そこで働けること自体が名誉視される、そんな工場で働く3人の男女が描かれる。何が生産されているかは明らかにされていない。主人公たちはそれぞれ意義が不明な、まったく不毛なように思われる仕事を担っている。私はコケの研究の人に思い入れを抱いた。
ありえないほどに広く、いびつにデフォルメされた工場。シュールといっていい作品なのだけれど、妙にリアルな設定だったりする。3人の立場が契約社員、派遣社員、正社員(よく分からない特別待遇の)と異なっているところなど。
作者は広島出身と聞いていたので、マツダ?マツダ?でもこんな作品に対してモデルの詮索なんてナンセンスですよね、と思いながら読んでいたのだけれど、ネットで見かけた作者インタビューでも「自動車メーカーで働いた経験から」と答えているので、やっぱりマツダのようだ。工場の中に大きな川があって、「工場ウ」という固有種がいて、主人公たちが長いながい橋を渡るというクライマックス(というには盛り上がらないが)が印象深く、Googleマップで工場を呼び出し、地図を眺めた。
(あれれ、また川と鳥の話にたどりついてしまった。)