青磁

「日本人の愛した中国陶磁 龍泉窯青磁」展 愛知県陶磁資料館 1月21日〜3月31日
名古屋の地下鉄の端からさらに乗り継いで高架のリニア線。「陶磁資料館南」という駅で降りてすぐに敷地らしいところに入るのだけれど、そこからたっぷり上り坂を10分以上歩いて到着。
昨年の根津美術館の「南宋青磁」展が記憶にあたらしいところだけれど、今度は龍泉窯という「砧青磁」を生み出した、青磁の代表的な産地で切って時代を長くとる展覧会。もしかして最近青磁研究が熱いんですか?色々発見されているし、ここ数年よさそうな展覧会が多いし、(約30年前と比べて)公募展に青磁を出す人も多い気がする。
さて。プロローグとしての北宋から、砧の南宋、いわゆる天竜青磁の元、そして明(いわゆる七官)。もちろん砧は素晴らしいのだけれど、薄い素地に淡い色の釉薬が薄くかかっている北宋期のものに心をひかれた。薄くてシャープなんだけれど、要所要所で瓜の割れ目のようなぷりっとした盛り上がりがあるところなんか…。
青磁も素地自体は薄いのだよね。そこにとろーり厚く釉薬が、何層かにわたって掛かっているわけだけれど、そういう素材で形をつくるというのは一体どういう感じなのか。砧青磁がキリっとしてるのって実はものすごいことなのかしら。それとも自然の摂理をうまいこと生かしてるのか。
展覧会として面白かったのが、明時代の重要な窯あとが発掘された成果をうけて、日本に伝世のものと出土したそっくりなもの(の破片)とを並べて「ほら」と見せているところ。笑っちゃうぐらい明々白々。2006年に出てきたばかりのほやほやの成果。これがやりたかったんですね。破片がない部分を石膏で埋めて完全な形に復元しているけれど、せっかく破片なんだから断面も見たい。難しそうな問題。
龍泉窯は民窯なのだけれど最高レベルのものも生み出していて、官窯との関係性も問い直されているようでした。
それと個々の作品についている解説文好ましかった。工芸って知らない人と詳しい人との差が激しい気がするけれど、そのどちらにも配慮したいい感じの情報量だった気がします。図録にも入っている。
さすが窯業地・瀬戸の隣にあるせいか、静かながら見ている人たちの体温が高い感じがして、それも何だかうれしかった。
6月に山口県立萩美術館浦上記念館に巡回。関東には来ません。