いろいろ

・「松井冬子展」横浜美術館、12月17日〜3月18日
いろいろ気になる人。紅白にも出てましたね。ふふ。
レオナルドダヴィンチふうの人物や内臓を日本画で描く。戦後から現在にかけての画家がほとんど選択しない絹に描く、細い墨線を使う、という手法をとっていることが特筆されるのだけれど、戦前のとは何かが決定的に違うと気になっている。絵の具の使い方が全体的に今っぽいのかな。
でもあの線はよく引けるなあ。せっかくだからもうちょっと色々な線をひいて見てほしい。静岡育ちで福田半香(渡辺崋山の弟子)の襖絵に囲まれて過ごしたということなので、いつかその辺のネタもやってほしいです。古典で遊ぶという感じではない芸風だけれど(使ってはいるけれど遊んではないよね)。クソまじめなのかしらこの人。
女女狂気狂気痛み痛みというのには特に共感はしないけれど(違う種類の人間なので)、主題の選び方やモチーフの選び方や構成の仕方とか、いやらしいハンコの押し方とか、うまいなあ面白いなあ、でも案外素朴な人のかなあ、と色々思いながら見ました。満足。コレクションの横浜写真や紫紅・寛方などもよかった。
・「京都細見美術館展part1都の遊び・王朝の美」そごう美術館(横浜) 2月4日〜3月20日
京都にある細見美術館のコレクション展。洛中洛外図や遊楽がけっこう出ていたのがうれしかった。近世初期風俗画(浮世絵以前・版画じゃない絵、という説明でいいかな)というと桃山からだいたい17世紀半ばぐらいまでとイメージするけれど、もうちょっと遅い17世紀の後半の感じが漂うものが多く、そのありようも様々で興味深かった。絵巻形式のものもあって、「平清盛展」(江戸東京博物館)で大量に見た奈良絵本をぼんやり思い出す。白い高杯(素材はなんだろう)の裏に「舞踊図」(サントリー美)みたいな遊楽図が描かれているのでびっくりした。意外に色々なものに描かれているよなあ。
其一とか守一とか真一とかりんぱの色々な人も少しずつ。若冲も2点。
・「中国近代絵画と日本」京都国立博物館 1月7日〜2月26日
去年から関西の色々な美術館で数珠つなぎ的に行われていた関西中国書画コレクション展シリーズのしんがり
文人画って、幕末から明治の頭になると急にやたら黒々としつこい感じになるのだけれどそれは中国の同時代絵画と同時代になるからだろうかということを確認しに行った。私にとって、まとめて近代中国絵画(国画)を見る初めての機会。
山元春挙とか竹内セイホウとか、文人画じゃないジャンルの人たちの絵の方法が取り入れられているところが面白いなあ。「画像石の拓本ふう」に筆でかく、という作品に石川寒巌の晩年の画風を連想した。何か関係はあるよね。日中戦争前夜の交流展覧会というのもへーとおもいました。未消化なのでこのへんで。