くんちの日々

もうひと月も経った話だけれど、もったいないので書き留めます。
長崎ではくんちの日々だった。テレビでやるような大観衆の中での本気踊りは見なかったけれど(あれは一万うん千円とかで席を買うか(とっくに売り切れ)、抽選に当たるかしなくてはならない)、町のあちこちで祭りに遭遇した。
朝は「ドンシャーンてゅるるるてゅるる」という音で目が覚め、窓下の細道を長々と龍(じゃ)が進んでいくのが見えたり、市電を降りたとたんに何やら野太い声で歌って青い舟を曳く人々が現れたり(ガイドブックによればオランダ語らしい)、角を曲がればゴゴゴゴと辻で方向転換中の川船に遭遇…という調子で、普通に歩いていても向こうから祭りがやってくる。「庭先まわり」といって協賛金を多少でも奉納したおうちや店を全部回るのだそうだ。そういう家々には家紋を染め抜いた幕が下がっていて、ローソンなんかもローソンマークを染めた幕を下げていた。
たいていは、文房具屋やらカステラ屋やら、お店に龍が銅鑼の音とともににゅうっと入っては出てとぐろを巻いたりするぐらいなのだけれど、町有数の大施主さんらしきところの庭先回りにも運よく遭遇して、本式に近い踊りも見ることができた。ああお施主さんにああやって挨拶して、地面にチョークで書いている記号は廻り済みという意味か、その記号の大きさは金額に比例するのかな(何しろ大施主さんのところの丸は異様に大きかった)などと、祭を運営する手順や仕組みを観察するのも面白かった。


ほかにも観光をめいっぱいして県美県博も見て帰りました。

興福寺九州国立博物館での黄檗展の垂れ幕が再利用されていた。

二十六聖人殉教の碑。舟越保武。あまり舟越調ではないのだなあ。猫が何匹もいた。見晴しの良い公園。

クラバー邸の温室。グラバー園というのはグラバー邸以外にも色々な洋館を移築して集めたものなのか。ややお疲れ気味。空き家の展示ということについて色々思いました。

孔子廟。北京故宮から文物を預かって常設展示しているんだ。へええ。清朝の陶磁など。