漱石と美術世界

東京芸術大学大学美術館、5月15日〜7月7日。これから静岡県美(あ、もう始まってる)。
やればいいのに!イギリスの美術館の人に納得してもらうの大変そうだけどな!と勝手に思っていた企画がやっと来た。のだけれどなんだか集中できない。ふわふわしながらロンドン塔の王子とか、美禰子さんに似ているらしい目の焦点の合っていない少女像を眺める。オフィーリアは入らなくて残念。
虞美人草の藤尾の枕元に立てられた銀屏風の再現作品、私の想像の中にあったものとは全然違ったので読み返してみたら、たしかに記述のとおりだった。でももうちょっとくどくてもいいかなあ。藤尾なんだし。でも抱一か…。銀屏風は黒くなりやすいのだけれど、この再現作品は古びさせる処理をしなかったみたい。抱一1829没→虞美人草1907。なんでかな。案外難しいのかな。でも少し絵具の当たるところ?に影ができていて、ほんとすぐ焼けるんだなあと思った。
江戸・中国絵画はこんなに出ていたっけね、へーと思いながら見る。近代(同時代)日本画は紫紅・大観・広業の八景(の一部)が揃い踏みしていて嬉しかった。広業が案外良いのだよなあ。漱石はあまり良いこと言っていないのだけれど。
漱石筆山水。漱石の南画は時々南画の展覧会で見かけるのだけれど、これだけたくさん集まると、その執拗さにオオっとなる。でも稚拙で執拗な作風というものが存在するから意外にへんには見えない。あとは装丁すてきー売り出しポスターわあーとふわふわ会場を漂って出た、かな。
漱石は結構ビジュアルなイメージ(既存の絵画にせよ自作イメージにせよ)を頭の中に映してそれを書きとってゆくという書き方をしていたのかな。全部の作品がそうとか、長編の隅から隅までとは言わないけれど。
資料館で調べものをして鶯谷へ降りたはいいけれど、書道美術館はもうしまっている。そうそう笹乃雪!と思って入ってみたら、下足番のおじいさんがいるなどして驚いた。豆腐づくし。冷奴と厚揚げ、一番ふつうのがおいしかった。

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