直立

福祉センターに用があって正午のサイレンと同時に入ると、いきなり直立不動で目を閉じている老夫婦がいてぎょっとする。あっ、終戦の日。事務室の中の人たちも直立中。あわてて脇に寄って残りの時間参加する。父方の祖父は2回目の出征で南方で死に(いっぱい殺したんだろうか、それともたどり着く前に飢えて死んだのだろうか)。いっぽう母方の祖父は痔で徴兵を免れて軍需工場での勤労奉仕か何かをさぼって同志社の図書館に侵入して講談本を読んでやりすごしていたという。うちの男どもに共通する「何かダメな感じ」にあふれている。母は戦後生まれだから、このダメな感じが私を生んだのだ、ということをもう一度思い出す。