さいきん読んだもの

川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』講談社、2011
私この人わりと好き。過剰に転がるような言葉の感覚など。川上弘美センセイの鞄』のオマージュですかというような設定。主人公はフリーの校閲者。どんなにやりつくしたつもりでも出版された後にミスが見つかる、という話にほっとする。今回は語り口と主人公の基本設定はずいぶんまともだ。マトモであるはずの人が加速度的にレールから外れて疾走する様にドキドキする。
畠中恵アイスクリン強し』講談社文庫、2011
築地の居留地と銀座にほど近い場所で洋菓子店を開こうという青年と、もと旗本の師弟で警官になって何とか生計を保つ若様組。というとまたあれですが、洋菓子に収斂していくので読み味はよいですよ。いや逆に、洋菓子小説?からイメージするものよりは骨太ということを強調すべきかしら。