肖像画の魅力ー歴史を見つめた眼差し

茨城県立歴史館、2月11日〜3月20日
こんな地味な時期にどうしてこんな凄いモノたちが?といぶかしみながら水戸へ。着いてからああ偕楽園の梅の時期だったと気づく。4年ぐらい前にも安田ゆき彦展を近代美術館に見に来たのでした。その時は梅には遅かったっけ。そして去年の梅は地震の直後…。
今年はまだ早かったみたい(3月3日)。道沿いの池には白鳥がたくさんいた。
さて。展覧会はひどくおもしろかった!室町期の頂像(僧侶肖像)・武家肖像画から写真・川村清雄まで。水戸・茨城関係の作品(豊かだなあ!)を中心に構成。
武家肖像画:小田家の7・14・15代当主の肖像。7代の肖像もほかの二人とあまり変わらない時期に作られたらしい。7代が右向きであとの2人は左向き。この7代がとってもい。どのへんの人が描いたのだろう。
それから像主の傍らに描かれるアレコレ。丸まって眠る猫とか、怒ってカチ割ったらしい壺とか。発注主(像主の息子や家臣あたり)がワンマン会社のシャチョウさんよろしくフリーダムな感じで絵師に注文をつけたのかしら。絵師はイヤだったかもなあ。
・斉昭肖像:幕末の水戸家の殿様、斉昭公が家臣(=武士)で絵の巧い萩谷セン喬に描かせた肖像。下絵が残っていてその制作過程がわかるし、同じ下絵をリサイクルして(前の下絵をもとにもう一度新しい下絵を描き起こして)立ち上がらせたり、ひげを生やしたりして少なくとも4種類の肖像が作られたらしい。首すじに3つのほくろ(シミ?)が描かれている。類まれなる治者の印とか何かそういう意味があるのかな。
琵琶を弾きながら変な顔で歌っている徳川斉昭の肖像の前で、小学校低学年ぐらいの女の子が「パパ、これも烈公?」と聞いていたのが印象的でした。
・似顔絵:一橋家のお殿様がポロをする家臣たちの似顔絵を描いて(体は専門絵師)絵巻に仕立てたものがあった。ツボをおさえた戯画的似顔絵として非常によくできている。別バージョンもあって、違う向きや表情でもああこの人とわかる。家臣たちは忍従したのか、あるいは一緒に爆笑したのか。発想源として随身庭騎絵巻があったりするのだろうか(ない気もする)。そのほかにもたくさんの肖像が集められたものが何種類か出ていた。「肖像がたくさん」が意味するものはいつの時代も同じだろうか。塾の門人である少年たちなども愛らしかった。
カメラ・オブスキュラ
渡辺崋山周辺の、みょうに西洋的リアルな、あの独特な肖像画群は、ことによるとカメラ・オブスキュラ、そうでなくても鏡を組み合わせて手もとに像を落とすという光学的装置を用いて描いたようだという話。それらの装置の再現品が置かれていました。会場外にはピンホールカメラや首かけ式カメラオブスキュラがあって体験できる(描けないけど)。たのしかった!
会期中に梅が咲き揃うといいですね。