栃木三題

・「歌麿と栃木」とちぎ蔵の街美術館、11月12日〜11月27日
もう終わっています。歌麿は栃木県栃木市に滞在したことがあって、最近相次いで再出現した肉筆画3点と、歌麿と街の関係を示す資料・江戸東京博物館の版本・版画が出ていました。美人画と恵比寿大黒の相撲図とショウキ図。ショウキの髭すごい…そして陰気な顔だ。あと明治〜昭和の細々とした資料(展示会とか)がおもしろかった。
栃木と歌麿の関係は栃木の旦那でなかなかの狂歌人がいて(近江商人)、ということらしい。図録には地元ならではの細かい狂歌人脈が。展覧会も図録も美術館が、というよりは地元の・まちの人が作った、という雰囲気。ゲストで専門家が入っています。
他にも美人の群像の大幅3幅対があったそうで(上述の狂歌旦那の注文)、2幅はアメリカに現存、1幅は所在未詳(?)とのこと。見てみたいなあ。
駐車場が満車で困って結局市役所に停めました。電車で行くのがいいみたい。川べりの道もすてきだし。
・「石川寒巌展」栃木県立美術館 11月1日から12月25日まで
日本画」(むつかしい言葉だ)の人や油絵の人たちの間でやたら「南画」が流行った大正の頃の人だけれど、寒巌は小室翠雲の弟子で元々の「南画」の流れの人。なんだけれどごく最初は油絵をやっていたそうです。おもしろかった!筆触がすばらしいですよ。まさに「大正南画」な時期もいいけれど、まだまだ早い晩年の、禁欲的な人物・蔬菜時代もよかった。もう少し生きていたらどう展開していっただろう。長生きしていたら新古典主義(ゆきひこたち)の匂いも違ったかも。
図録には寒巌の読書の話。「旧い南画」の人なのに、油絵とか院展系の人たちの言う「南画=後期印象派表現主義」的な話に共感を持っていた、とか。
・「写実と表象」上野記念館、10月15日〜1月17日
宇都宮の県庁の近く。道が斜めに交差していたりするので、近づくのは諦めてそのへんの100円パーキングに停めて行きました。館の向かいに3台分ぐらい駐車場はあるみたい。江戸・近代の絵がいろいろ。青葉城伝来という衝立の谷文晁のクジャクの絵。でかい。「城の絵」らしく描く。
文晁の弟子ということになっている高久靄がいの若い頃の松島真景とか孔雀の絵も出ている。靄がいってこういう線も引くのか(もそもそ?した人だと思っていた)。あと宇都宮の地元画家(名前わすれた)が宇都宮の街を眺めた絵というのも好ましかった。「南画」の人たちが自分のすむ街とか村を眺めた絵って好ましいものが多い気がするな。