濱田が出逢った魅惑の近代

益子陶芸美術館(栃木県)、 9月15日(土)〜12月2日(日)
濱田庄司という益子とか民芸とかを象徴する陶芸家の顔がどーんとアップで刷られたポスターに気を呑まれてつい行ってしまった。入ったらいきなり岡本太郎の「座ることを拒否する椅子」が置いてあって、あれ?展示室間違えた?と思ったけれど、濱田は川崎の溝口生まれで、太郎の母・かの子とご近所同士だったという話。中学時代は芝神明町で過ごし木村荘八と友達だったとか。出自は「産地の窯元の息子?」じゃなくて都市のモダン・芸術・文化!みたいなところにあるというのはおもしろかった。そしてバーナード・リーチについてイギリスに渡って、戻ってきて益子で「郊外の芸術家」や「民芸(知識人が民衆の健康的な美を発見する)」をやったりする。
この人は陶芸を浅草蔵前にあった東工大で学んだのだそうだけれど、こないだ読んだ沢村貞子の「私の浅草」にも「蔵前の高工」(東工大)の文化祭のバザーでセルを買うのを楽しみにしていたという話が出ていて(「セルと私」)、あっと思う。たぶん大正の9年頃だから濱田はとっくに卒業してイギリスに渡っている頃か。
益子ですてきなお店めぐり☆という妄想もあったのだけれど、美術館を出たら真っ暗でそれどころではなかった。丸一日用意しなきゃだめだね。